〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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4-6.アートメイクについて(2)
  前回の記事では、医師免許を持たない者がアートメイクを行う行為は医師法に違反し、違反したエステサロン経営者等が逮捕されたり、懲役刑となった例を紹介しました。
 ところで、なぜ、アートメイクはそれほどまでに重い法律違反となるのでしょうか?  実は、その理由についても、前回の記事で紹介した東京地方裁判所の判決文のなかで述べられているので紹介します。

 前回の記事の事件で、美容室経営者の弁護人は、被告人である美容室経営者が医師法に違反する行為をしたこと自体は認めましたが
  • 針による色素注入行為(以下、アートメイクと記述)は、美容を目的とし、人体に対する危険性が高いとはいえない行為である。
  • 類似行為といえる入れ墨は社会的に容認ないし黙認されている。
  • アートメイクはすでに社会内に業種として広まっており、営業として宣伝までしているにもかかわらず、何らの取締りを受けていないことからすると、すでに社会に受け入れられた社会的相当行為である。
 ことを理由に、違法性はないと主張しました。
 この弁護人の主張は、今現在も医師免許なしにアートメイクを行い続けている、多くのエステサロン等が自分の業務を正当化する際の主張と共通するものがあります。
 しかし、東京地方裁判所の裁判官は、弁護人の主張を、それぞれ次のような理由で退けました。

1.の「美容を目的とし、人体に対する危険性が高いとはいえない行為」という主張について
  • 医師法にいう医業とは、反復継続して医行為を行うことであり、医行為とは、医師の医学的知識及び技能をもって行うのでければ人体に危険を生ずるおそれのある行為をいう。したがって、これを行う者の主観的目的が医療であるか美容であるかを問わない。
  • 人の皮膚は、その表面から、表皮、真皮、皮下組織の三層から構成されているが、表皮は部位により、また、個人差により異なるとはいえ、その厚さは0.1ないし0.3ミリと極めて薄いため、アートメイクを施すと、針の先端を表皮内に止めることは技術的に不可能であり、少なくとも真皮内にまで針が到達し、その部分まで皮膚を損傷させるため出血を伴うことになる。  これは、一定期間色素が落ちないというアートメイクの目的を達するためにも、新陳代謝により約一か月で脱落してしまう表皮に色素を入れるのでは意味をなさないことからも当然である。
  • アートメイクは、針で皮膚を刺すことにより、皮膚組織に損傷を与えて出血させるだけでなく、医学的知識が十分でない者がする場合には、化膿菌、ウイルス等に感染して肝炎等の疾病に罹患する危険がある。
  • 色素を皮膚内に注入することによっても、色素自体の成分を原因物質とするアレルギーなどの危険があるとともに、色素内に存在する嫌気性細菌等に感染する危険があることが認められる。
  • 多数回皮膚に連続的刺激を与えて傷つけることによりその真皮内に類上皮肉芽腫という病変を生ずることも指摘されている。
 以上の理由で、アートメイクを医師ではない者がすることによって、人体に対して具体的危険を及ぼすことは明らかであるとしています。

 2.の「類似行為といえる入れ墨は社会的に容認ないし黙認されている。」という主張については、アートメイクと、古来から行われてきている入れ墨を彫る行為とは、針で人の皮膚に色素を注入するという行為の面だけをみれば大差ないものと認められるので、入れ墨もまたアートメイクと同様、医行為に該当するものと一応は認めています。しかし
  • 入れ墨は歴史、習俗にもとずいて身体の装飾など多くの動機、目的からなされてきている。
  • これにたいし、アートメイクは美容を目的とし、広告等で積極的に宣伝して客を集めているものである。
  • その宣伝があたかも十分な美容効果が得られるような内容であるのに、《少なくとも今回の事件の場合には》病変した皮膚を目立ちづらくするというにはほとんど効果がないか、乏しいものである。
  • アートメイクは専ら営利を目的とし、その料金(皮膚1c?あたり3万円〜5万円程度)も、《少なくとも今回の事件の場合には》客の期待がほとんど達せられないという意味で極めて高価である。
  • このことからすると、入れ墨もアートメイクもともに違法であるとはいっても、それぞれの違法性の程度は当然異なるといわざるをえない。
  • そして、入れ墨もアートメイクも、結局この違法性の程度に応じて、即ち、その社会的状況を反映した実体ごとに取締りの対象になるかどうかが判断されているものと思われる。
  • したがって、入れ墨が違法ではあっても今日社会的に黙認されているからといって、アートメイクもまた黙認ないし容認されるべきものと認めることはできない。
  • そして、アートメイクの違法性は《少なくとも今回の事件の場合は》高くないものとは認められず、ましてや社会通念上正当なものと評価される行為とは到底認めることができない。
 としています。

  3.の「アートメイクは、すでに社会内に業種として広まっいる。」という主張について
  • アートメイクが美容上何らかの効果があり、社会的に広く行われている現状にあるとしても、たまたま取締りを見過ごされてきたアートメイクが、今回の事件によって、人体に対する具体的危険を及ぼすことが判明した以上、医師ではないものが本件行為をなすことに違法性があることは明らかである。
 としています。



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