〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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5-13.お客様から「自分のカルテを見せてくれ」と請求された場合
 本節では、顧客名簿やカルテに記載されているお客様本人から、「私の個人情報が貴店でどのように利用されるのか教えて欲しい」とか、「自分の個人データをどの程度まで持っているのか見せて欲しい」と請求された場合の対処法について、説明していきます。なお、本節では説明をわかりやすくするため、あえて部分的に「保有個人データ」という用語を「顧客名簿やカルテ」という言葉に置き換えて説明していきます。

《1:顧客名簿やカルテの利用目的の通知について》

 個人情報取扱事業者は、本人から、その本人に関する顧客名簿やカルテなどの利用目的の通知を求められたときは、遅滞なく、本人に通知しなければならないとされています。

 要するに、顧客名簿やカルテに記載されているお客様本人から、「私の個人情報が貴店でどのように利用されるのか教えて欲しい」との問い合わせがあった場合には、例えば「当美容室の来店予約に関するご連絡、割引クーポンの送付、イベントや新サービスに関する情報のお知らせのために利用いたします。」という旨を、なるべく早めに通知しなければならないということです。

 ただし、次の1.〜4.の場合には、通知は不要です。(1.以外は読み流していただいて結構です。)
  1. 個人情報取扱事業者が、「保有個人データ」を「本人の知り得る状態」にしているため、保有個人データの利用目的が明らかである場合
  2. 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
  3. 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は利益が侵害されるおそれがある場合
  4. 国の機関等が法令の定める事務を実施する上で、民間企業等の協力を得る必要がある場合であり、協力する民間企業等が国の機関等から受け取った保有個人データの利用目的を本人に通知し、又は公表することにより、本人の同意を得ることが当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合
 1.については、前節 5-10で説明しました。したがって、個人情報に関する問い合わせが多い事業者は、毎回問い合わせのたびに個別に通知をするよりも、あらかじめ「顧客名簿やカルテ」を「本人の知り得る状態」にしておいた方がよいといえます。

 ただし、上記1.〜4.の理由により、通知しない旨を決定したときにも、遅滞なく、本人に「通知しません」という内容の回答をしなければならないとされています。

《2:顧客名簿やカルテの開示について》

 個人情報取扱事業者は、本人から、その本人に関する顧客名簿やカルテなどの開示を求められたときは、本人に対して書面を交付するなどの方法により、遅滞なく、その顧客名簿やカルテの内容を開示しなければならないとされています。これは、その本人に関する顧客名簿やカルテが存在しないときに、その旨を知らせることを含みます。

 要するに、お店のお客様から「自分について書かれたカルテの内容を見せてくれ」と求められた場合には、お店の側はカルテのコピーや要約書をお客様に渡すなどの方法によって、なるべく早めにそのカルテの内容をお客様に伝えなければならないということです。
 また、そのお客様のカルテがお店に存在しない場合(最初からない場合・すでに廃棄した場合など)にも、問い合わせを無視するのではなく、「今、お店には、あなたのカルテは存在しない」ことを、やはり同様に伝えなければならないということです。(ない理由の通知については努力義務です。)


 ただし、次の1〜3の場合には、その全部又は一部を開示しないことができます。(この場合には、「開示しない」旨を本人に通知する必要があります。)
  1. 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合 (例:医者が本人に病名等を開示することにより、本人の心身状況を悪化させるおそれがある場合)
  2. その個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合 (例:同じ人間が、同じ内容の開示請求をしつこく繰り返しているため、他の問い合わせ対応業務が立ち行かなくなるなど、業務上著しい支障を及ぼすおそれがある場合)
  3. 他の法令に違反することとなる場合
 なお、本人に対して顧客名簿やカルテなどの保有個人データを開示する方法は、「書面の交付による方法」のほか、「開示の求めを行った者が同意した方法があるときは、その方法」でもよいとされていますので、eメールでもよいと同意してくれたお客様に対しては、eメールで開示してもよいことになります。
 また、開示の求めが電話であった場合には、そのお客様が特に「書面で送ってくれ」などの注文をつけない限り、必要な本人確認等の後で、そのまま電話で問い合わせに回答してもよいとされています。

 次節では、お客様から顧客名簿やカルテの訂正・抹消を請求された場合の対処法について説明します。