〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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理容室・美容室(美容院)の開業・経営に必要な行政手続や法律知識について、さまざまな情報を提供しています。理美容室経営者の方や将来独立開業予定の理容師・美容師の方、理美容業界関係者の方は、ぜひお読みください!
5-6.公開情報や名簿業者などから個人情報を取得する際の注意点
 個人情報取扱事業者が、個人情報を取得するルートとしては、
  1. 本人から直接、書面やホームページの画面入力によって、その本人の個人情報を取得する場合。
  2. 本人から直接、口頭など上記1.以外の手段によって、その本人の個人情報を取得する場合。
  3. 官報などの公開情報から、第三者を介さずに個人情報を取得する場合。
  4. 知り合いや名簿業者など、第三者を介して間接的に取得する場合。
 などが考えられます。このうちの1と2については、すでに前節で説明しましたので、本節では、上記のうちの3と4のように、本人以外から個人情報を取得する場合のルールについて説明します。

《1:公開情報や名簿業者などから個人情報を取得する場合》

 個人情報取扱事業者が、官報や新聞などの公開情報から、第三者を介さずに個人情報を取得する場合や、知り合いや名簿業者など、第三者を介して間接的に個人情報を取得する場合には、その事業者は、「すみやかに、その利用目的を、本人に通知し又は公表しなければならない」とされています。その他、以下のような場合も同様です。

 ○取得後、すみやかに、本人に通知又は公表が必要な事例
  1. インターネット上で本人が自発的に公にしている個人情報を取得する場合
  2. インターネット、官報、職員録等から個人情報を取得する場合
  3. 個人情報の第三者提供を受ける場合(名簿業者から個人情報を購入する場合など)
 例えば、名簿業者から名簿を購入して、DM発送などに使用する場合には、その名簿を取得後、すみやかに、その名簿に書かれた個人情報の利用目的を、本人に通知し又は公表しなければなりません。
 しかし、実際には個々に通知するのは手間ですので、あらかじめ『公表』という手段をとることが多いです。「公表」とは、一般の人々が知ることができるように発表することをいいます。公表に当たっては、事業の性質や個人情報の取扱状況に応じて、合理的かつ適切な方法によらなければならないとされています。

 ○公表したといえる事例
  1. 自社のウェブ画面中のトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載 自社の店舗・事務所内におけるポスター等の掲示、パンフレット等の備置き・配布等
  2. 店舗販売においては、店舗の見やすい場所への掲示によること。
  3. 通信販売においては、通信販売用のパンフレット等への記載によること。
 ただし、例外として 、利用目的の通知または公表が不要な場合もあります。

 ○例外として、利用目的の通知・公表が不要の場合
  1. 利用目的を本人に通知し又は公表することにより、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれかある場合
  2. 利用目的を本人に通知し又は公表することにより、その個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
  3. 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し又は公表することにより、当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれかあるとき。
  4. 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合
 には、利用目的の通知・公表は不要となっています。 もっとも、本人から直接個人情報を取得する場合と比較して、上記の例外にあてはまるケースは、きわめて少ないものと思われます。

《2:不正な手段による個人情報の取得の禁止》

 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により、個人情報を取得してはならないとされています。 では、個人情報を取得する手段として、「不正の手段」として禁止されるのは、どういう場合でしょうか?

 ○不正の手段により個人情報を取得している事例
  1. 親の同意がなく、十分な判断能力を有していない子供から、取得状況から考えて関係のない親の収入事情などの家族の個人情報を取得する場合
  2. 個人情報の第三者への提供制限(23条)に違反をするよう強要して個人情報を取得した場合
  3. 他の事業者に指示して、上記の事例1又は事例2などの不正の手段で個人情報を取得させ、その事業者から個人情報を取得する場合
 例えば、美容室に訪れた子供のお客様から、その子の親に関する情報をいろいろと聞き出す行為は、その聞き出す内容によっては違法となる場合がありますし、他の事業者(例えば名簿業者)をそそのかして不正な手段で個人情報を収集させ、あとからその名簿を買い取るといった行為も違法となります。

 また、名簿業者から個人情報を購入してDM発送などを行うことは、上記の「利用目的の通知・公表」など、個人情報保護法のルールに沿った手続を行えば、それ自体は違法ではありませんが、購入先の名簿業者が違法な手段を用いて個人情報を収集しているのを知りながら、その名簿を購入した場合には、購入した美容室も「不正な手段により個人情報を取得した」ことになる可能性があるので、注意が必要です。

 なお、この「不正の手段により、個人情報を取得してはならない」というルールは、あくまで「個人情報取扱事業者」にのみ適用されます。したがって、例えば個人データを5000件以下しか持っていない美容室や、美容室に雇われている美容師個人には、このルールは適用されません。

 ただし、「個人情報保護法」では罰せられませんが、刑法や不正競争防止法で罰せられる場合があります。例えばスタッフとして雇われていた美容師個人が、勤め先の美容室の個人情報を店主に無断で持ち出すと、刑法上の窃盗罪や不正競争防止法違反の罪で罰せられる場合があります。この問題については、後ほど別の節で詳しく扱っていく予定です。