〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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理容室・美容室(美容院)の開業・経営に必要な行政手続や法律知識について、さまざまな情報を提供しています。理美容室経営者の方や将来独立開業予定の理容師・美容師の方、理美容業界関係者の方は、ぜひお読みください!
6-12.合名会社・合資会社はどうすればよいか?
 本節では、合名会社・合資会社についての変更点について述べていきます。このテーマについては、今すでにお店を合名会社・合資会社の形態で経営されている方については、ぜひ読んでいただきたいのですが、現在株式会社・有限会社の形態でお店を経営をされている方は、特に読まなくても結構です。また、現在個人事業主の方で、今後法人化を検討されている方については、次節6-13の「合同会社」の方をお勧めいたしますので、そちらをお読みください。

《1:分類名の変更》

 旧商法では、合名会社・合資会社をあわせて「人的会社」と呼んでいましたが、新しい会社法の施行により、合名会社・合資会社のほか、新たに設立が認められる合同会社の3つを併せて「持分会社」と呼ぶようになりました。このこと自体は、別に日常の会社経営に何ら影響するものではありませんが、今後会社法について書かれた新聞記事や書籍、ウェブサイトの中で使われる言葉ですので、一応知っておいてください。

《2:経営上の重要事項の決定について》

 合名会社・合資会社では、社員(※)の入社、持分の譲渡、定款変更等の重要事項は、原則として社員(※)全員の同意による必要があります。
 この点、合名会社については今までと同じ取り扱いですが、合資会社については「全ての『無限責任社員』の同意」から「全ての『社員』の同意」に変更されました。つまり、今までは会社の経営にあまり口を出せなかった『有限責任社員』が、今後は一定の重要事項については口を出せるようになったということです。
(ただし、会社法の施行前からすでに設立されている合資会社については、整備法により、定款に「有限責任社員は業務を執行しない」という定めがあるものとみなされますので、定款変更などの手続きをとらない限り、有限責任社員には業務執行権はありません。)

 ※ここで言う「社員」とは、「従業員」のことではなく、「出資者として定款に記載
  されているもの」をいいます。大まかに言えば、「共同経営者」のことです。
 ※「有限責任社員」と「無限責任社員」の違いは、6-13を参照してください。

《3:社員1名の合名会社もOK》

 旧商法では、合名会社を新たに設立する場合には社員(共同経営者)2名以上が必要でした。これは、合名会社が存続するための要件にもなっていましたので、もし社員2名のうち1名が退社(共同経営から脱退)したり、死亡したりして社員が残り1名になってしまった場合には、その合名会社は解散することとされていました。
 会社法では、社員1名でも合名会社の設立が認められるようになりましたし、社員が1名になっても合名会社の存続が認められるようになりました。
 ただし、合資会社の場合には、「1名以上の無限責任社員」と「1名以上の有限責任社員」が必要ですので、そのどちらかが欠けてしまった場合には、合名会社や合同会社に会社の種類を変更する手続きが必要となります。

《4:合名会社・合資会社から、株式会社への組織変更が可能に》

 旧商法では、合名会社・合資会社から、株式会社に組織変更をすることが認められていませんでした。そこで、もしも自分のお店を合名会社・合資会社から株式会社に変えたい場合には、お店自体を現物出資して別に株式会社を設立し、あとからその株式会社に合名会社・合資会社を吸収合併させたり、営業譲渡をするなど、回りくどい手続きを踏む必要がありました。
 会社法では、合名会社・合資会社から、直接株式会社に組織変更をすることが出来るようになりました。この場合、債権者保護手続きなど厳格な手続きが要求されますが、従来よりはやりやすくなっています。

《5:合名会社・合資会社・合同会社間の種類変更が可能に》

 持分会社同士なら、会社の種類の変更が、株式会社に組織変更する場合と比べて、割と簡単にすることができます。パターンとしては

  ・ 合名会社  =>  合資会社
  ・ 合名会社  =>  合同会社
  ・ 合資会社  =>  合名会社
  ・ 合資会社  =>  合同会社
  ・ 合同会社  =>  合名会社
  ・ 合同会社  =>  合資会社

 の6通りが考えられます。なお、合同会社については次節以降で説明します。

《6:法人も無限責任社員となることが可能に》

 旧商法では、法人は合名会社・合資会社の無限責任社員となることは出来ませんでした。しかし、会社法では、法人も合名会社・合資会社の無限責任社員となることが出来るようになりました。

《7:法人も、業務執行社員となることが可能に》

 旧商法では、法人は合名会社・合資会社の業務執行社員となることは出来ませんでした。しかし、会社法では、法人も合名会社・合資会社の業務執行社員となることが出来るようになりました。ただし、この場合には実際に業務執行を担当する人間を定め、その人の名前を登記しておく必要があります。
 なお、業務執行権をもたない社員は、会社の業務・財産の状況を調査することができる監視権を持ちます。

《8:合資会社の有限責任社員も、業務執行社員となることが可能に》

 旧商法では、合資会社の有限責任社員は業務執行社員となることは出来ませんでした。しかし、会社法では、有限責任社員も業務執行社員となることが出来るようになりました。ただし、会社法の施行前からすでに設立されている合資会社については、整備法により、定款に「有限責任社員は業務を執行しない」という定めがあるものとみなされますので、定款変更などの手続きをとらない限り、有限責任社員には業務執行権はありません。
 なお、業務執行権をもたない社員は、会社の業務・財産の状況を調査することができる監視権を持ちます。旧商法では、有限責任社員がこういった事項を調査するためには裁判所の許可が必要でしたが、会社法では不要となっています。

《9:共同代表制度の廃止》

 旧商法では認められていた共同代表制度は、廃止されました。

《10:会社法施行後の、既存の合名会社・合資会社の取り扱い》

 会社法施行前からすでに設立されている合名会社・合資会社は、そのまま存続可能です。この場合、「法律上は」原則として定款や登記を変更する必要はありません。
 ただし、「実務的には」、会社法の規定に合わせて、定款変更などの手続をしておくほうが望ましいと思われます。