〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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6-4.会計参与について
《1:会計参与について》

 引き続き、株式会社について書いていきます。今回は「会計参与」制度について、取り上げていきます。
 会計参与とは、会社法によって新たに設立された制度で、公認会計士や税理士が、株式会社の内部機関として、取締役と共同で計算書類(決算書)を作成して保存し、株主や債権者に計算書類の内容を説明、開示する制度です。株式会社であれば、規模の大小や取締役会の設置の有無に関係なく、すべての会社で会計参与を設置することができます。(ちなみに、有限会社では設置できません。)

 会計参与の設置はあくまで任意ですが、設置する場合には、定款にその旨を規定し、株主総会で選任の決議をして、選任された会計参与の氏名・名称を登記する必要があります。なお、会計参与を株主総会で選任する際の決議の要件や、任期・報酬については、取締役と同じルールになります。

 会計参与に就任できるのは、公認会計士(監査法人)・税理士(税理士法人)に限られます。ただし、その会社および子会社の取締役、監査役、会計監査人、支配人、その他の使用人は、会計参与を兼任することはできません。

○会計参与の主な仕事内容
  • 取締役と共同して決算書(計算書類)を作成すること
  • 株主総会で計算書類の内容についての質問を受けたり、説明をすること
  • 計算書類とは別に、会計参与報告書を作成すること
  • 会社とは別に、計算書類を5年間保存すること
  • 株主や債権者がら請求があった場合に、計算書類を閲覧させたり謄本等を交付すること
○会計参与の権限と責任
  • 会計参与は職務を遂行するため、会計帳簿や関連資料をいつでも閲覧・謄写できます。
  • 子会社に対する調査権があります。
  • 会社に対する損害賠償責任と第三者に対する損害賠償責任を負います。
  • 会社に対する責任については、株主代表訴訟の対象となります。
  • 取締役の不正行為などを発見した場合に、監査役や株主へ報告する義務を負います。
  • 取締役会で計算書類等を承認する場合には、取締役会に出席し、意見を述べる義務を負います。
  • 計算書類の作成について取締役と意見が異なる場合には、株主総会で意見を述べることができます。
○顧問税理士との違い

 顧問税理士があくまで「外部」の人間であるのに対し、会計参与は、取締役などと同様に「会社内部の役員」として、取締役と共同して計算書類の作成などに直接関わります。

○監査役との違い

 本来、監査役は出来上がった計算書類をチェックする立場にありますので、監査役が直接会社の計算書類を作成することはできないはずです。
 もっとも、現実には税理士等が監査役として、中小企業の経理指導や計算書類の作成に当たっていたケースも多かったため、このような実態を制度化して、会計参与が導入されたといういきさつがあります。

《2:会計参与を設置するメリット》

○計算書類の信頼性の確保

 今までの株式会社では、監査役を置いているとはいっても、その監査役は特に会計の専門知識を持っているわけでもない親戚や知人が、名目的になっているという場合が多く見受けられました。
 会計参与を設置することによって、その会社の計算書類は、会計のプロである公認会計士や税理士が、取締役と共同で作成することになります。会計参与は、その計算書類の内容に対しても、重い責任を負わされますので、計算書類の信頼性が上がります。
 計算書類の信頼性が上がれば、金融機関からの融資を受け易くなることが期待できます。一部の金融機関では、融資先に対して会計参与制度の導入を勧めていたり、会計参与を設置した会社に対して役員の個人保証を免除したり、金利を優遇する動きもあるそうです。

○取締役の負担の軽減

 取締役が計算書類を作成する手間や、計算書類の内容を株主に説明する労力を軽減することができ、より会社経営に専念できます。
 また、社内に経理に関して詳しい人間を確保できない場合に、経理部門を強化できます。

○監査役の設置が不要となる(非公開会社の場合)

 取締役会を設置する会社は、原則として監査役(会)を設置しなければなりません。しかし、非公開会社(株式全部に譲渡制限を設けている会社)では、会計参与を設置することによって、監査役の設置が不要となります。
 したがって、特に会計の専門知識のない、名目上の監査役を置くことをやめて、代わりに会計参与を設置するというのも、ひとつの選択肢になる訳です。

《3:会計参与制度は普及するか》

 新しい会社法の施行により、株式会社の最低資本金制度も撤廃されるため、単に「株式会社」というだけでは、社会的な信頼を得ることが難しくなるものと思われます。この点で、計算書類を適正に作成し開示することは、「ウチの会社は、最近ポンとできたそこらの株式会社とは違い、きちんと経営をしているんだ」ということをPRする、ひとつの有効な手段になると思います。
 そして、計算書類の信頼性を確保するために、会計参与を設置することは、これから経営者の方が考慮すべき、ひとつの課題になると思います。
 ただし、会計参与を引き受けることは、公認会計士や税理士にとっても、非常に重い責任を負うことになります。そのため、実際には「なり手がいない」のではないか、あるいは責任の重さに比例して、報酬が高額になるのではないかということが、会社法の施行前には懸念されていました。
 しかし、実際には、ゆっくりとではありますが、徐々に会計参与を設置する会社も増えつつあるようです。また、一部の金融機関でも、融資先の会社に会計参与の設置を薦めている例もあるようです。今後、個人保証の免除や金利の優遇など、金融機関の動き次第では、会計参与も普及していくものと思われます。。