〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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理容室・美容室(美容院)の開業・経営に必要な行政手続や法律知識について、さまざまな情報を提供しています。理美容室経営者の方や将来独立開業予定の理容師・美容師の方、理美容業界関係者の方は、ぜひお読みください!
6-8.株式会社の会社法対策(まとめ)
《1:定款や登記事項の重要性》

 今まで見てきたように、今後はひとくちに「株式会社」といっても、資本金何千億円の大企業から、資本金1円、株主1名、取締役1名という会社まで、さまざなま会社が存在することになります。まさに「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」の状態になります。
 これはすなわち、従来は「株式会社」というだけで、ある程度の信用力を保てていたものが、今後は単に「株式会社」というだけでは、まったく信用力を保つことが出来なくなることを意味します。

 また、定款に定めることによって、取締役を1名にするなど組織を簡略化したり、株主の議決権を制限したりすることも出来るようになります。定款がまさにその会社にとっての「万能ルール」となり、今までよりも、会社の運営方法を自分たちで決めることが出来る自由度が大きくなるのですね。(これを「定款自治の原則の拡大」といいます。)
 このことは、裏を返せば、ある株式会社がどのように運営されているかは、その会社の定款なり、登記簿なりを見ないとわからなくなることを意味します。

 したがって、自社が新会社法の施行後に、新たに他の株式会社と取引を始める場合には、その会社の登記簿などを調査しておく必要性が、今までよりもさらに増してくることになります。(もっとも、理容室・美容室は一般のお客様を相手にする現金商売ですので、この点はあまり気にしなくてもよいかもしれません。)

 逆の立場で考えますと、現在、理容室・美容室を株式会社で経営している場合には、取引先や銀行などの債権者から、自社の登記簿謄本を調査されたり、「定款を見せろ」と要求される場面が、今までよりも多くなってくることが予想されるわけです。
 さて、そんなときに、もし自社の登記簿が、本来しなければならないはずの役員変更の登記が放置されていたり、また、自社の定款が、長年放りっぱなしになっていて、まったく会社の現状とミスマッチになっていたらどうでしょうか? それだけで、「会社の信用」にとってはマイナスになりますよね。

《2:会社法施行後に、まずやるべきこと》

 また、今までは、「定款」といっても、会社設立時に登記のために使用されたまま、すっと放置されていて、「定款は会社の根本規則である」などといっても形だけのような状態で、経営者は自分の会社の定款に何が書かれているかほとんど知らないといったような状態になっていたのではないでしょうか? また、その内容も、文房具屋で買ってきた雛形に、空欄をチョコチョコと書き込むだけで、どの会社も似たり寄ったりということも多かったように思われます。

 しかし、新しい会社法の施行により、「定款」はその会社の経営者の経営方針・ポリシーが、そのまま反映されたものになります。当然その内容も会社ごとに異なるものなり、これまでよりも、その重要性が格段に増すことになります。

 したがって、現在理容室や美容室を株式会社で経営されている方にとって、新会社法対策でまずやっておかなければならないことは、自社の定款や登記簿の状態を、この機会にチェックしておくことになります。あなたの会社の定款、どこかに眠ったままになっていませんか? 一度取り出して見てみましょう。
 
 ただ、そうはいっても、定款や登記簿は、普段見慣れていないと、結構読みづらいものですよね。そのような場合には司法書士などの専門家に見てもらうのも、一つの手段だと思います。

 そして、重要なのは、こういった専門家に定款や登記簿をチェックしてもらう前に、まず、今後自分の会社をどのように運営していくのか、その方針をきちんと定めておくことです。すでに見てきましたように、取締役会を置くのか、置かないのか、資本金はいくらでいくのか、会計参与は置くのか、置かないのか、発行する株式の種類はどう組み合わせるのかなど、これらのことが、すべて自分で決められるようになるのです。

 選択の自由が広まるということは、経営者の力量の差が現れやすくなり、経営の責任が重くなることを意味します。新会社法を経営の「武器」にできるかどうかは、経営者次第なのですね。