〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜

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6-9.有限会社はどうすればよいか?
 新しい会社法の施行により、平成18年5月1日以降、新たに有限会社を設立することは出来なくなりました。
 一方、現在すでに存在する有限会社については、今後は以下のような選択肢があります。
  1. そのまま、「有限会社」として経営を続ける。
  2. 株式会社に変更する。
  3. 合同会社・合資会社・合名会社に組織変更する。
  4. 個人事業主に戻る。
 それでは、これらを順番に見ていきます。

《1.そのまま「有限会社」として経営を続ける場合》

 この場合には、一定の例外的なケース(※)を除き、会社法の施行後も、「法律上は」特別な手続を要することなく、そのまま経営を続けることができます。

 ※一定の例外的なケース
   定款に次のような規定が置かれている場合
    ・議決権について、出資割合と異なる規定を設けている場合
    ・配当について、出資割合と異なる規定を設けている場合
    ・残余財産の分配について、出資割合と異なる規定を設けている場合
   →会社法が施行された後6ヶ月以内に登記をする必要があります。
     (登記を怠った場合、100万円以下の過料に処せられます)

 なお、会社法の施行にともない、従来の有限会社に関する法律である「有限会社法」が廃止されたため、有限会社は法律上は株式会社と同じ扱いを受けます。(これを「特例有限会社」といいます。)
 そのため、従来有限会社では発行することができなかった社債の発行が、株式会社と同様に可能になりました。また「社員」は「株主」に、「持分」は「株式」に、それぞれ用語が変更になっています。さらに、6-6で説明した「相続人からの株式買取請求」の規定を定款に設けることもできるようになっています。
 しかし、取締役の任期や株主総会の決議方法などについては「整備法」という法律で従来の有限会社法と同じような扱いがなされるので、結局のところは、従来とあまり変わらないといってもいいでしょう。

 ただし、法律上株式会社として扱われるからといって、社名を「有限会社○○」から、勝手に「株式会社○○」と名乗ることはできません。この場合には定款変更や登記など、一定の手続きが要求されます。

 なお、有限会社はすでに述べたとおり、「法律上は」特別な手続を要することなく、そのまま存続することができますが、「実務的には」、会社法の規定に合わせて、定款変更などの手続をしておくほうが望ましいと思われます。なぜなら、すでに説明したように、会社法では有限会社の「社員」は「株主」に、「持分」は「株式」に、それぞれ用語が変更になっています。したがって、議事録などを作成する際にも、タイトルは「社員総会議事録」ではなく「株主総会議事録」となるわけですが、一方で定款にはいまだ「社員」「持分」といった用語が使用されているとなると、非常にわかりにくい状態になるからです。
 また、6-8で説明しましたが、会社法施行後には、例えば銀行などから借入をする場合にも、定款の提出を求められるようになる可能性があります。こうした場合に、定款をきちんと会社法に沿って修正してある会社とそうでない会社では、その会社に対する印象や評価もおのずと変わってくるからです。
 さらに、上記で説明した社債の発行や「相続人からの株式買取請求」の規定を置くためには、定款の変更が必要となります。したがって、会社法であらたに認められるようになった制度を最大限に活かすためにも、「実務上は」定款変更が必要といえそうです。

《2.株式会社に変更する場合》

 次に、2の場合です。会社法の施行により、資本金を増額したり、役員の人数を増やすことなく、割と簡単に有限会社から株式会社に変更することが出来る事になります。具体的には、資本金300万円のままで増資をしなくても株式会社になれますし、取締役1名のみ、監査役なし(いわゆる「ひとり社長」)の会社でも、「非公開会社(6-2参照)」の株式会社となれます。
 したがって、この機会に「株式会社」に変更するというのも、選択肢の一つです。「株式会社」の語感やブランドイメージ(?)も魅力的ですよね。

 ただし、有限会社はいつでも株式会社に変更することができますが、一度株式会社に変更してしまいますと、もはや有限会社に戻ることは出来なくなりますので、この点は慎重に対応する必要があります。
 なお、有限会社のまま存続するか、株式会社に変更するかは、なかなか難しい問題だと思いますので、次節6-10で双方のメリット・デメリットを比較しながら、どちらがいいのかを検討してみます。

《3.合同会社・合資会社・合名会社に組織変更する場合》
 
 旧商法では、株式会社や有限会社が合資会社や合名会社に組織変更することは認められていませんでした。しかし、新しい会社法では、株式会社や有限会社が合資会社や合名会社、あるいは新たに認められた会社形態である合同会社に組織変更をすることが認められるようになりました。
 このうち合同会社については、有限会社と同じく出資者の責任が「有限責任」で、決算公告も不要であり、法人であることによる税金面でのメリットは株式会社や有限会社とまったく変わらないことや、有限会社以上に組織をシンプルに出来ることから、決して奇抜なアイデアではなく、十分に選択肢の一つになりえるものと思われます。
 なお、会社法では合同会社・合資会社・合名会社の3つの会社を「持分会社」といいます。持分会社の特徴については6-11以降で説明しますので、そちらを参照してください。
 ただし、手続き的には、上記の1(有限会社のまま)や2(株式会社へ変更)に比べると、株主全員の同意がいること、組織変更計画書の作成や、債権者保護手続が必要となるなど、多少手間と時間、そしてお金がかかります。

《4.個人事業に戻る場合》

 会社法の施行に伴う税制改正で、例えば株主1名、取締役1名の会社のように、実質的には個人商店と変わらないようないわゆる特殊支配同族会社については、役員報酬が損金に参入されないことになりました。したがって、節税目的でのみ法人化をしたような会社で、売り上げが下降線にあるような場合には、法人税の均等割やその他法人であることによるコストの増大を考慮したときには、法人をいったん解散し、個人事業としてお店を続けるというのも、選択肢の一つになります。
 ただし、手続き的には、上記の1(有限会社のまま)や2(株式会社へ変更)に比べると、会社の清算手続きや、債権者保護手続が必要となるなど、多少手間と時間、そしてお金がかかります。したがって、これらの一時的なコスト負担と、長期的なコスト削減の効果を天秤にかけて、決定することになります。