メールマガジン 週刊「理容室・美容室の経営法務」 バックナンバー
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  週刊「理容室・美容室の経営法務」 第10号 2005年12月21日発行
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     <発行元:行政書士 森法務事務所 毎週水曜日発行>
  URL:http://www.ribiyou6pou.com/ MAIL:magazine@ribiyou6pou.com
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 ○今週の記事
  ・今週の話題:「監禁皇子様」事件の初公判、始まる
  ・部屋にカギをかけなくても、監禁罪は成立する?
  ・お店の積雪落下防止設備は大丈夫ですか?
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★☆今週の話題☆★

 みなさま、こんにちは! 行政書士の森です。先週から今週にかけて、全国
各地で大雪が降りましたね。私の住む金沢市でも積雪が40cmを超えて、交通
機関が麻痺したり、雪かきに追われるなど、大変な状態でした。みなさまの街
では、大丈夫でしたか?

 さて、今週の話題です。今回は理美容に直接関係のない話題ですが、みなさ
まは「監禁皇子(王子)様」の事件を、覚えていますか?
 この事件は、おととしから昨年の12月にかけて、被告人である男性が、東
京や青森で4人の若い女性を長期にわたって監禁し、暴行や性的虐待を加え、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを負わせた事件でした。
 この事件に関する初公判が、19日に東京地方裁判所で開かれましたが、被
告人の「自称 皇子様」は、何を思ったのか、上下とも白のスーツで登場し、
まるでスター気取りのような口ぶりで、自分の無罪を熱弁したそうです。
 そして、「女性と一緒にはいたが、いつでも逃げられる状態だったので監禁
はしていない。暴行も脅したこともない」と起訴事実を全面的に否認したそう
です。

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★☆部屋にカギをかけなくても、監禁罪は成立する?☆★

 この事件の巧妙で悪質なところは、女性を監禁した部屋にわざとカギをかけ
ずに、物理的には「閉じ込めていない」ようにしていた点です。被告人はこの
点を主張して、「監禁ではない」と言い張っているのですね。
 しかし、そんな主張は通らないでしょう。なぜなら、たとえ物理的には「逃
げ出すことが可能な状態」であっても、監禁罪は成立しうるからです。

 まず、監禁とは「人の身体を間接的(場所的)に拘束して、人が一定の区画
された場所から脱出することを不能又は著しく困難にする」ことを言います。
そして、その手段には、「部屋にカギをかけて閉じ込める」といったように、
物理的に出られない状態にすることはもちろんですが、被害者の錯誤(さくご
=勘違い)を利用する場合や、被害者の恐怖心や羞恥心を利用する場合、ある
いは脅迫を手段とする場合なども含まれています。

 したがって、たとえ物理的にはいつでも脱出できるような状態だったとして
も、「逃げ出そうとしても無駄だ、ここからは出られない」と被害者にウソを
いって、閉じ込められていると信じさせていた場合や、「逃げ出したらただで
はおかないぞ、お前の家族まで皆殺しにしてやる」などと被害者を脅迫して、
脱出を断念させていたような場合、また、入浴中の女性の衣服をどこかに隠す
などして、出るに出られなくするような場合にも、監禁罪は成立します。

 さらに、自動車のなかに被害者を連れ込み、高速で疾走させるなど、たとえ
脱出の方法があっても、その方法をとることが生命や身体の危険を伴うなど、
一般の人が脱出をするのに困難を感じるような方法であれば、監禁となりえま
す。

 また、監禁する場所は、いわゆる「囲い場所」に限られません。たとえば、
女性をバイクの後部座席に乗せて走行するような場合に、女性が「もう降ろし
て」と哀願しているのに停止しないような場合にも、状況によっては監禁にな
ることもあります。

 今回の事件では、それこそ「部屋にカギをかける以外」のあらゆる手段を用
いて、少女らを監禁していたことは明白ですよね。したがって、その事実さえ
証明できれば(これが以外に難しいのですが)、ほぼ間違いなく「監禁罪」は
成立するでしょう。また、他にも傷害罪などにも科せられるものと思います。

 それにしても、自分自身が拘置所に「監禁」されても反省する態度もなく、
被害者らに謝罪する意志もまったくないとは・・・何なんでしょうね?

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★☆お店の積雪落下防止設備は大丈夫ですか?☆★

 先週から今週にかけて、各地を襲った大雪では、理容室・美容室の経営者の
みなさまはいろいろと大変だったと思います。お店の前の雪かきもさることな
がら、この天気ではお客様の足も遠のきますよね。そして、この時期に来てい
ただけるはずのお客様の来店時期が遅れると、ただでさえ忙しい年末がさらに
忙しくなってしなうおそれもあります。

 さて、これから年末にかけて、理美容室が忙しくなってくるのは重々承知の
上で申し上げるのですが、お店のオーナーや店長の方は、ぜひこの機会(?)
に、お店の「積雪落下防止設備」を点検しておくことをお勧めします。特に、
北海道や東北、北陸のお店を経営されている方にとっては、必ずやっておいて
いただきたいと思います。

 例年、大雪が一段落した時期には、屋根から落ちてきた積雪で歩行者が生き
埋めとなり、最悪の場合窒息などで生命を落とすという事故が起きています。
積雪のため、足元も悪く、歩道も狭くなっているので、歩行者も頭上から雪が
落ちてきてしまった場合に、よけきれないことが多いのですね。さらに悪いこ
とに、車道の雪が歩道側に除雪されていることが多いため、それが「雪の壁」
を形成し、生き埋めになった歩行者の発見や救助の遅れに繋がるケースもある
そうです。

 そして、もしそのような事故が自分のお店の前で起きてしまった場合には、
お店の側が「損害賠償請求」を受ける可能性もありえます。実際の判例でも、
美容院の店舗の積雪落下防止設備が大雪で壊れ、その大雪が通行人の頭上に落
下した結果、通行人が窒息死してしまったケースで、店舗を管理していた美容
師と、道路を管理していた国に、連帯して損害賠償の支払いを命じたものがあ
ります。

 この判例については、私もメルマガで紹介するかどうか非常に悩みました。
しかし、このメルマガはその名の通り、「理容室・美容室の経営者」を対象に
配信されていることや、こうした事故が起きることを未然に防ぐ上で、ただ単
に「危険だから点検しましょう」とだけ言っていたのでは、やはり説得力に欠
けと思います。それに、もともと「危機管理」というのは、「想定したくない
ような事態」が「起こりうる」ことを受け入れ、その上で対策をすることに、
その意味があると思います。そこで、あえてこの判例を紹介させていただきま
した。

 この判例の詳しい内容については次号で紹介しますが、理美容室の経営者の
みなさまにとっては、ある意味「理不尽」ですよね。大雪は天災ですし、その
大雪が「たまたま」歩行者が歩いている最中に落下してきて死亡してしまった
からといって、確かに亡くなられた方については大変気の毒であるとは思うの
ですが、だからといってその損害賠償まで請求されるのは納得がいかないとい
うのが、多くの読者の方の正直な感想ではないでしょうか?

 それに、通常こういった設備を自分が大工道具を使って設置しているという
ことはあまりないでしょうから、訴えるのならその設備を作った大工さんや業
者、あるいは賃貸物件ならその大家さんを訴えろという気持ちもあると思いま
す。その気持ちは、至極もっともなことです。

 しかし、こういった場合には、民法の「工作物責任」といって、まず第一に
「占有者」が、そして第二に「所有者」が責任を負うと定められています。
「占有者」というのは、大まかに言って、その建物や設備を、実際に使用して
いる人間と考えてください。つまり、例えば大家さんから借りている店舗の看
板が落下して、下を歩いていた通行人に怪我をさせてしまった場合には、まず
第一に「占有者」である「お店」が責任を負い、お店に過失がないと認定され
たときに、はじめて店舗所有者である「大家さん」が責任を負うのですね。
これはその看板が「初めから備え付け」であったのか、「後からお店で取り付
けたのか」に関係なくです。

 「え〜っ、そんな理不尽な!」という声が聞こえてきそうですね。しかし、
それはあくまで「被害者」に対しての「一次的な」責任の話です。このケース
では、最終的には大家さんや看板を取り付けた業者さんに、被害者に支払うべ
き治療費や慰謝料を負担していただくことになります。しかし、そのためには
一定の手順を踏む必要があります。(次号に続く)

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<ご注意>
 当メルマガの記事は、法律の専門家では無い方を対象に、なるべく解り易く
読んで頂けることを基本コンセプトにしております。したがって、内容の厳密
さという点では、多少いたらない点もございます。
 実際にこの記事に書かれているようなトラブルを抱えている方につきまして
は、当事務所もしくは他の法律専門家の方に、個別に相談されることをお勧め
いたします。

 ※当事務所ではすでに起きてしまった法的なトラブルに対する示談交渉、
  和解、訴訟代理等の業務は行っておりません。

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<編集後記>
 今日は、金沢では比較的おだやかな天気です。降り積もった雪も、だんだん
解けてきています。(それでも、まだ山のように残っていますが)
 北陸に引っ越してきたので、ある程度は覚悟していたのですが、2シーズン
目にして少々うんざり気味です。雪だけではなく、家の中の結露も問題です。
 一昨年前に名古屋に住んでいたときは、冬は空気が乾燥するため「加湿器」
を使っていたのが、金沢では一転して「除湿機」を使うことになるとは。
 もっとも、今回は私のふるさと、名古屋でも58年ぶりの大雪とか・・・
もちろん金沢の積雪の方が多いのですが、それでも街の構造が積雪を前提に作
られているので、名古屋の方がパニック状態かもしれませんね。
 
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 それでは、次号もよろしくお願いします。

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