メールマガジン 週刊「理容室・美容室の経営法務」 バックナンバー
■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□■■■■■
  週刊「理容室・美容室の経営法務」 第51号 2006年11月1日発行
■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□■■■■■
+=================================+
  <発行元:金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士 森欣史>
   毎週水曜日発行 関連サイト http://www.ribiyou6pou.com
+=================================+
□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□
*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━*
 《お知らせ》
  スパムメール増加のため、従来のお問い合わせ用メールアドレス
  magazine@ribiyou6pou.com は、使用を停止しました。
  今後、管理者宛てにお問い合わせをなされる場合には、
  まず http://www.ribiyou6pou.com/ にアクセスしていただき、
  サイト右上にあるメールボタンをご利用ください。 
*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━*

★☆理美容室における個人情報の保護について(10)☆★

 みなさま、こんにちは! 司法書士・行政書士の森です。
今週も、どうかよろしくお願いいたします。

 今回は、お店の顧客名簿やカルテを「第三者」に提供する場合についての規
制を見ていきます。
これについては、「ウチのお店は、顧客名簿を名簿屋に売ったりしているわけ
ではないし、まあ、あまり関係ないだろう。」と思っている方が多いと思いま
す。しかし、次のような場合はどうでしょうか?

1.親子兄弟会社、グループ会社の間で個人データを交換する場合
2.フランチャイズ組織の本部と加盟店の間で個人データを交換する場合
3.同業者間で、特定の個人データを交換する場合
4.外国の会社に国内に居住している個人の個人データを提供する場合

 結論から言いますと、上記1〜4は全て個人データの「第三者」への提供と
なります。したがって、個人情報取扱事業者に当てはまる場合には、個人情報
保護法の規制を受けることになります。

 1.については、お店と本部を別会社にしていて、本部で各お店の顧客デー
タを一括して管理しているような場合には当てはまりますし、理容と美容を別
会社にしていて、それぞれが持っている顧客データを共同で利用している場合
にも、これに当てはまります。
 ただし、同一事業者内で他部門へ個人データを提供することは「第三者」へ
の提供とはなりません。したがって、お店と本部が同じ社内にある場合や、理
容と美容を別会社にしていないような場合には、これには当てはまりません。
(利用目的による制限は受けます)

 2.については、フランチャイズ系の理美容室で、顧客名簿を本部と加盟店
の間で交換していれば、もちろん当てはまります。

 3.については、友人のお店との間で顧客名簿を交換する場合はもちろんで
すが、例えば、それまで自分のお店で働いていたスタッフが、独立して別のお
店を構える際に、そのスタッフが担当していたお客さんの名簿をお店が提供す
る場合にも、当てはまる可能性があります。

 4.については、「個人情報保護法は日本の法律だから、外国の会社に個人
データを提供する場合には関係ないだろう」というわけではないということで
す。名簿業者が会社を外国に設立して、日本の個人情報保護法を逃れるのを防
ぐ意味もあるのでしょう。

 なお、上記1〜4の場合については、ある一定の手段を講じることによって
「第三者への提供制限」を免れる場合があります。これについては後で述べま
す。

 一方、次のような場合にはどうでしょうか?
5.個人データの取扱いに関する業務の全部又は一部を委託する場合
6.合併、分社化、営業譲渡等により事業が承継され個人データが移転される
  場合

 上記5〜6の場合には、個人データの第三者提供には当たりません。

 5.については、例えば紙のカルテのデータをパソコンに入力して電子デー
タ化する作業を、外部の業者に委託するために、その業者に個人データを渡す
場合や、ウェブサイト上で注文を受けたシャンプーなどの商品を配送するため
に、宅配業者に個人データを渡す場合などが考えられますが、このような場合
は、個人データの第三者提供には当たりません。
 ただし、この場合、個人情報取扱事業者は、委託先に対する監督責任を負い
ます。この点については、すでに第50号で述べたとおりです。

 6.についてですが、それまで自分のお店で働いていたスタッフに対して、
「お店をまるごと営業譲渡」し、「それに伴って顧客名簿もそのスタッフに移
転する場合」には、上記3.の場合とは異なり、個人データの第三者提供には当
たりません。
 ただし、この場合、事業の承継後も、個人データが譲渡される前の利用目的
の範囲内で利用しなければなりません。この点については、すでに第47号で
述べたとおりです。

 次に、個人データを特定の者との間で共同して利用する場合です。

 個人データを特定の者との間で共同して利用する場合には、原則として、個
人データの第三者提供に当たります。
 ただし、「以下のア〜オの情報」を「あらかじめ」「本人に通知」し、又は
「本人が容易に知り得る状態」に置いている場合には、第三者提供には当たら
ないとされています。

ア)共同して利用する旨
イ)共同して利用される個人データの項目(例:氏名、住所、電話番号)
ウ)共同利用者の範囲
エ)利用する者の利用目的
オ)その個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称

 ここでいう「あらかじめ」とは、「個人データの共同利用をする前に」とい
う意味です。したがって「個人情報を取得する前に」でなくてもOKです。

 「本人に通知」する手段については、すでに第47号で述べたとおりです。

 「本人が容易に知り得る状態」とは、本人が知ろうとすれば、時間的にも、
その手段においても、簡単に知ることができる状態に置いていることをいい、
合理的かつ適切な方法によらなければならないとされています。

○:本人が容易に知り得る状態に該当する事例

1.ウェブ画面中のトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲
  載等が継続的に行われていること。
2.事務所の窓ロ等への掲示、備付け等が継続的に行われていること。
3.広く頒布されている定期刊行物への定期的掲載を行っていること。
4.電子商取引において、商品を紹介するウェブ画面にリンク先を継続的に掲
  示すること。

 したがって、上記のような手段を講ずれば、親子兄弟会社やグループ会社の
間で個人データを共同利用することができます。ただし、この場合でも「個人
情報の利用目的」の範囲内であることは必要です。

 では、これらを念頭に置いた上で、個人データの第三者への提供制限の内容
を見ていきます。

【原則】
 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第
三者に提供してはならない。

【例外1】本人の同意がなくても、個人データを第三者に提供できる場合
1.法令に基づく場合
 (例:令状による捜査を受けた場合など)
2.人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の
  同意を得ることが困難であるとき。
 (例:急病の際に、本人について、その血液型や家族の連絡先等を医師や看
    護士に提供する場合)
 (例:私企業間において、意図的に業務妨害を行うものの情報について情報
    交換される場合)
3.公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合
  であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
 (例:不登校の生徒についての情報を、児童相談所や学校等が連携して対応
    するために交換する場合)
4.国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事
  務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意
  を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
 (例:事業者等が、警察や税務職員の求めに応じて、任意に個人情報を提出
    する場合)

 どこかで見たことありませんか? 実はこれは第45号の「利用目的につい
ての例外」と、全く同じです。

【例外2】オプトアウト

 個人情報取扱事業者は、第三者提供におけるオプトアウトを行っている場合
には、本人の同意なく、個人データを第三者に提供することができます。

 「オプトアウト」というのは、聞き慣れない言葉だと思います。
 通常は、個人情報取扱事業者が個人データを第三者に提供する場合には、
「あらかじめ」本人の同意が必要です。このように、事前に本人の同意や承諾
をとるのが必要な場合を「オプト・イン(事前選択)」といいます。
 これに対して、本人から「やめろ」と言われた場合に、はじめて個人データ
の第三者への提供を止めればよいという場合を、「オプト・アウト(事後選択
)」といいます。

 この「オプト・アウト」は、個人情報の第三者提供を行う前に、あらかじめ
以下の1〜4の情報を、本人に通知し又は本人が容易に知り得る状態に置いて
おく必要があります。

1.第三者への提供を利用目的とすること。
2.第三者に提供される個人データの項目
3.第三者への提供の手段又は方法
4.本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を
  停止すること。

 この制度は、住宅地図業者やデータベース事業者(DM用の名簿等を作成し
販売する業者など)が、実際問題としてそこに掲載される個人すべてに対して
「あらかじめ、本人の同意」を得るのは難しいことから、定められています。

 したがって、理容室・美容室経営にはあまり関係ない制度ですが、「個人」
としての自分の情報が名簿業者などの間で流通している場合に、知っておくと
参考になると思います。
(次号につづく)

□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□
<ご注意>
 当メルマガの記事は、法律の専門家では無い方を対象に、なるべく解り易く
読んで頂けることを基本コンセプトにしております。したがって、内容の厳密
さという点では、多少いたらない点もございます。
 実際にこの記事に書かれているようなトラブルを抱えている方につきまして
は、当事務所もしくは他の法律専門家の方に、個別に相談されることをお勧め
いたします。

□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□〓〓〓〓〓□□□□□
<編集後記>
 先週は、創刊以来初めて、配信を「サボって」しまいました。m(_ _)m
ここのところ、本業が結構多忙で、気がついたらすでに木曜日でした。

 第50号の編集後記で、「やめようかな」ということを書いたので、そのま
ま廃刊になるのではないかと思った方もいるのではないでしょうか?
 まあ、いつまで続くかはわかりませんが、ただ、廃刊にするときは、ちゃん
と予告するつもりです。

 ちなみに、最近は、このメルマガで公開していたアドレス宛へのスパムメー
ルも相当増えてきて、このことにも、結構うんざりしているのですね。

 それで、とりあえず従来まで掲載していたお問い合わせ用のメールアドレス
magazine@ribiyou6pou.com は、使用を停止することにしました。
 今後、管理者宛てにお問い合わせをなされる場合には、お手数ですが、まず
http://www.ribiyou6pou.com/  にアクセスしていただき、サイトの右上にあ
るメールボタンをご利用ください。 

 それでは、次号もよろしくお願いいたします。

■■■■■〓〓〓〓〓■■■■■〓〓〓〓〓■■■■■〓〓〓〓〓■■■■■
 ○発行元:金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士 森欣史
 ○毎週水曜日発行 関連サイト http://www.ribiyou6pou.com
 ○本誌に掲載した記事内容の無断転載・転用・転送は一切お断り致します。
■■■■■〓〓〓〓〓■■■■■〓〓〓〓〓■■■■■〓〓〓〓〓■■■■■
    Copyright (C) 2006 Yoshifumi Mori. All Rights Reserved.
第50号へ ←|第51号|→ 第52号

メルマガ登録・解除
週刊「理容室・美容室の経営法務」
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ
このページは、サブウィンドウを使用して表示されています。
読み終えましたら、このウィンドウを閉じていただければ、メインページに戻ります。
検索エンジン等から直接このページに来訪された方は、こちらをクリックしてください。
『理美容六法.com』 ‐理容室・美容室経営の法律知識‐
Copyright (C) 2006 Yoshifumi Mori. All Rights Reserved.