メールマガジン 週刊「理容室・美容室の経営法務」 バックナンバー
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  週刊「理容室・美容室の経営法務」 第60号 2007年1月24日発行
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  <発行元:金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士 森欣史>
   毎週水曜日発行  関連サイト http://www.ribiyou6pou.com/
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★☆『キャバクラ嬢・髪型裁判』を分析する(3)☆★

 みなさま、こんにちは! 司法書士・行政書士の森です。
今週も、どうかよろしくお願いいたします。
 さて、前号に続き、『キャバクラ嬢・髪型裁判』についての判決文の解説を
続けます。

 前回は「前提事実」についてみていきました。この「前提事実」というのは
裁判で争っている原告のキャバクラ嬢側と、被告の美容室側の双方の言い分が
一致している部分と考えてください。
 民事裁判では、裁判所は、当事者の言い分が一致している部分については、
特に審理をしたり、証拠調べをしたりすることはありません。

 今回の裁判では、被告の美容室Eの店長Fが原告のキャバクラ嬢Cに対して
カットやカラーリングを行ったこと自体は双方とも認めており、また、原告の
キャバクラ嬢Cが、その施術結果に何らかの不満があって、途中で退席したこ
とも双方が認めている「事実」として処理されます。逆に、キャバクラ嬢の側
が、「確かに美容室Eには行ったが、担当はFではなかった」とか、美容師で
ある店長Fの側が「確かにキャバクラ嬢Cはその日に来店したが、私は担当し
なかった」などと主張した場合には、まずその点から証人尋問などで明らかに
していく必要があります。しかし、今回の裁判では、その点は争われませんで
した。

 今回の裁判の「争点」、つまり当事者の主張が食い違い、争いとなったのは
以下の点でした。

《争点》
 1.本件の美容契約の具体的内容と、それに関連して、そもそも美容室に
   おいてカット等を依頼する契約の性質
 2.本件の美容契約上の債務不履行ないし不法行為の成否
 3.損害の有無およびその金額

 まず、1についてですが、これは要するに事件当日の美容室で、原告のキャ
バクラ嬢Cが、被告である美容室Eの担当美容師(店長)Fに対し、どのよう
な髪型にすることをオーダーしたのかという点です。原告のキャバクラ嬢Cは
結局「注文どおり髪型が仕上がらなかった」ことに不満があるわけですが、そ
もそも、その「注文の内容」について、キャバクラ嬢Cと担当美容師Fとの間
で「見解の相違」があるわけですね。
 また、そもそも美容室においてカットやパーマ、カラーリングを行うことが
法律上どのようなジャンルの契約になるのかについても、争われています。

 次に2についてです。「債務不履行(さいむふりこう)」というのは、要す
るに「契約違反」のことをいいます。したがって、この事件の場合には、キャ
バクラ嬢Cの髪型が果たして「オーダーした内容に仕上がっていた」のかどう
かについても、争っていることになります。
 また、「不法行為(ふほうこうい)」というのは、「故意又は過失により、
他人に損害を与える」ことをいいます。そして、「不法行為」と認定された場
合には、加害者は被害者に対し、その損害を賠償する責任を負うことになりま
す。したがって、この事件で美容室Eや担当美容師Fが、キャバクラ嬢Cに対
して「故意又は過失により損害を与えた」と認定された場合には、その損害を
賠償する責任を負うことになります。

 最後に3について。これは、要するに上記2で美容室側に「債務不履行」や
「不法行為」が「あった」と認定され、キャバクラ嬢Cがこうむった損害を賠
償しなければならないという判断がなされた場合に、では、具体的にいくらの
金額の支払いを命じるかということですね。今回の裁判では、原告のキャバク
ラ嬢側は円形脱毛症の治療費や、意に沿わない髪型にされたことによってキャ
バクラでの接客活動等に支障が生じ、その結果売り上げが落ちたという「営業
損害」などを主張していますが、その「損害」を認めるかどうか、また、認め
る場合には、その金額はいくらかについて、審理がなされたわけです。

 では、次号からは、上記1〜3について、さらに具体的にみていきます。

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<ご注意>
 当メルマガの記事は、法律の専門家では無い方を対象に、なるべく解り易く
読んで頂けることを基本コンセプトにしております。したがって、内容の厳密
さという点では、多少いたらない点もございます。
 実際にこの記事に書かれているようなトラブルを抱えている方につきまして
は、当事務所もしくは他の法律専門家の方に、個別に相談されることをお勧め
いたします。

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<編集後記>
 前回の編集後記で「納豆があるTV番組で取り上げられた結果、全国のスー
パーの店頭で納豆が品薄になったなんていう話も耳にしています。」と書いた
のですが、その後、このTV番組のデータが「ウソ」であったなどが発覚し、
世間を騒がせていますね。

 振り回された消費者もどうかとは思うのですが、可哀想なのは、この件で、
ひょとしたら納豆の増産体制を整えていたかもしれない生産業者や、納豆の売
り切れ防止のために大量発注をしていたかもしれない流通業者ですね。

 報道する側には、その社会的影響力をよく自覚し、責任ある報道を期待した
いところです。

 それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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