メールマガジン 週刊「理容室・美容室の経営法務」 バックナンバー
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  隔週刊「理容室・美容室の経営法務」 第66号 2007年5月10日発行
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  <発行元:金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士 森欣史>
   隔週水曜日発行  関連サイト http://www.ribiyou6pou.com/
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★☆『キャバクラ嬢・髪型裁判』を分析する(9)☆★

 みなさま、こんにちは! 司法書士・行政書士の森です。
前回、今後は「隔週水曜日で発行する」と宣言しながら、1日遅れの配信とな
りました・・・m(_ _)m が、とりあえず、よろしくお願いいたします。

 さて、前号では、原告のキャバクラ嬢側の視点で、今回のカットやカラーリ
ングがどのように行われていたのかを見てきました。
 今回は、被告となった美容室側の視点でみていきます。

《被告の美容室側の主張》

1.義務違反ないし違法行為の有無

(ア) 本件におけるFの具体的施術
a カットまで
 原告のキャバクラ嬢の来店後、担当美容師のFは原告に問診を行い、問診の
際、Fは原告の髪質、毛量を確認し、毛髪を相当短く切らなければない旨を原
告に告知した。問診の後、Fは助手に原告頭髪の洗髪作業を行わせ、その後、
原告に対し、再度、希望の髪型を確認し、カット作業に入った。

b カットの手順
 Fは、同日正午頃からベースカット作業に入った。その具体的な作業は次の
とおりである。
 ・ 前髪を徐々にカットして前髪を作る。
 ・トップ、バック、そしてサイドにかけて、頭髪を引き出し、適宜の長さ
  にカットしていく。頭髪はトップほど短めに切除する。ただし、細部を
  調整しながら形を整えるという手順をとるため、やや長めに切除する。
 Fは、これらの作業をほぼ15分ほどで終了した。なお、切除の際、切る長
さを具体的に示し、適宜原告の承諾を得た。
 なお、これらのカットの際、Fは原告の前髪にストレートパーマをかけた。

 セニング等による毛量の調整
 上記のとおり、若干長めにレイヤーカットを行った後、Fは午後12時45
分ころ以降、徐々にセニング等によって毛量を調節した。原告の髪質は太く、
毛量も多であったため,原告希望の髪型にするためには、相当程度根元からセ
ニングを行い、毛量を減らす必要があった。
 Fは、自己の技術に従い、頭髪全体につき適宜セニングを行い、徐々に毛量
を減らしていった。これにより、同じトップから生える頭髪でもその個々の長
さに差が出るようになった。これは、サイドもボトムも同じである。

 被告Fは、原告の希望した髪型が、サイドが膨らまずにフェイスラインに沿
ってまとまる丸みを帯びた髪型であるため、これに合わせたセニング手法、即
ち、頭髪の表面部分を長めに、その内側を短めにするセニングを行い、他方、
首より下にたれる毛髪は、頭髪の長さについては不一定であるが若干広がりを
持つという形状であったため、上記サイドとはまったく逆のセニング手法を採
用した。
 ただし、毛髪の最下部、いわゆる裾部分については、長いままにするという
原告の希望を容れ、毛先を整える程度の修正のみ行い、位置を維持した。

c カラーリング
 ベースカット及び毛髪調節の為のセニング作業の大枠が終了した段階で、カ
ラーリングを開始した。全体を単色で染色した後の午後3時前ころFはさらに
髪型の細部調整をするためセニングを行い、また顎部のあたりからシャギーカ
ットを行い、髪の毛の軽い質感を出した。
 Fの予定では,その後にカラーリングを完成させ、さらに細部の微調整の為
のカットを行う予定であったが、その際、原告のクレームが発生したので、結
局髪型は完成しなかった。

d 原告によるクレーム
 Fは原告が依頼した雑誌写真の色調に合わせて、オレンジ・グレー系で毛根
付近を染色し、色調を確認した後に上記雑誌の写真の色調に合わせて全体のカ
ラーリングを始めた。ところがこれに対し、原告は「色が暗い」などと苦情を
述べ始めた。そこで、Fは、従前のイエロー系に比較し、オレンジ系の染色は
若干暗めになる旨を原告に伝え、原告の承諾のもと、さらに染色を継続した。
かかる説明の後も、原告から暗いとの指摘がされた為、Fは当初予定されてい
た染色の方針を変更することにした。具体的にはFは原告に確認の上、原告頭
髪にハイライト処理(毛髪に立体感を出すために頭髪の流れにそって明色部分
を加える処理)を行った。
 しかし、これでも原告は不満を述べた。そこでFは原告と協議の上、再施術
を行うことを決定した。この決定に基づき原告頭髪に明るめの脱色を行い、仕
上げとしてオレンジ系のカラー染色を行った。
 ところが、原告は、カラーリング後のカットの際に、原告が「カラーも暗い
し、髪も短くなった。」と騒ぎ出したものである。

 これをお読みになって、みなさまはどのような感想をお持ちになったでしょ
うか? 前回の原告の言い分とは、かなり異なる主張ですよね。

 要約すると、原告であるキャバクラ嬢側の言い分は、「私の確認も取らずに
勝手に髪をバッサバッサとカットされた上、仕上がりもめちゃくちゃだった。
しかも、何度もやり直しになって、結局9時間もかかった。」というもので、
一方被告となった美容室側の言い分は、「カットやカラーリングの内容は適正
であり、その施術の際にはその都度説明して、原告の確認を取ったはずだ。」
というものです。

 それでは、いったいどちらの言い分が正しいのでしょうか? 
(次号に続く)

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<ご注意>
 当メルマガの記事は、法律の専門家では無い方を対象に、なるべく解り易く
読んで頂けることを基本コンセプトにしております。したがって、内容の厳密
さという点では、多少いたらない点もございます。
 実際にこの記事に書かれているようなトラブルを抱えている方につきまして
は、当事務所もしくは他の法律専門家の方に、個別に相談されることをお勧め
いたします。

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<編集後記>
 最近、私のサイト「理美容六法.com」へのアクセスのうち、yahoo!やGoogle
からのキーワード検索で、「アートメイク」に関するものが増えています。
 実は、先月29日に、舞鶴市のエステ店経営者が、医師免許を持たずにアー
トメイクを行って、警察に逮捕されたのですね。
 以前も同じようなパターンで、私のサイトへのアクセスが増えたことがあり
ました。この件についても、いずれメルマガで取り上げていきたいと思います
が、人の身体を美しく清潔にする美容関連の産業で逮捕者が出るというのは、
あまり良い話ではないですよね。

 それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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