メールマガジン 週刊「理容室・美容室の経営法務」 バックナンバー
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  隔週刊「理容室・美容室の経営法務」 第67号 2007年5月23日発行
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  <発行元:金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士 森欣史>
   隔週水曜日発行  関連サイト http://www.ribiyou6pou.com/
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★☆『キャバクラ嬢・髪型裁判』を分析する(10)☆★

 みなさま、こんにちは! 司法書士・行政書士の森です。
今週も、よろしくお願いいたします。

 さて、前号までで、原告のキャバクラ嬢および被告となった美容室側の双方
の視点で、今回のカットやカラーリングがどのように行われていたのかを見て
きました。双方の言い分がかなり異なっていたことはご理解いただけたかと思
います。

 それでは、いったいどちらの言い分が正しいのでしょうか? 
それは、、、わかりません。ただし、双方の言い分を聞いた裁判官としては、
さまざまな証拠調べや証人尋問の結果、今回の事件の概要は以下のとおりであ
ると判断しました。

《裁判所の判断》

1 原告、被告双方の言い分に食い違いがない部分と、食い違いがある部分で
  各種の証拠や証人の証言などの総合的に判断した結果、次の事実を認める
  ことができる。

(1)原告のキャバクラ嬢が働いていたお店Cでの、原告の給料の仕組みは、
   基本的には売上比例である。原告が受け取った給与は平成16年1月
   度が約189万円、同年2月度が約199万円、同年3月度が約82
   万円で、平均約157万円であった。
(2)原告は、平成16年4月4日午前11時45分、キャバクラの同僚と
   共に被告が東京都渋谷区において経営するEを訪れ、被告の店長であ
   るFに対し、原告の頭髪に関するカット、カラーリング等を依頼し、
   Fは被告の店長としてこれを税込み代金1万6500円(内訳:ポイ
   ントストレートパーマ3000円、カラーリング9000円、カット
   4500円)で承諾した。
(3)Fは、原告が接客業務に携わっていることを知っていた。Fは、原告
   に髪型の希望を聞いたが、その際、原告は、Fに対し、JJ記載の本
   件髪型を参考にカラーリングとカットをする、巻き髪やアップが可能
   な髪型とするため最も長い部分の長さは残す、頭頂部が短いウルフレ
   イヤーであるHのような髪型は避けると依頼し、他に、スタイルはロ
   ングレイヤー、フロントの長さは鼻頭、トップの長さは17〜20cm
   サイドの長さはセミロング(肩にかかる位)、ネープの長さは肩甲骨
   下部〜腰、シルエットは◇型との趣旨の希望をした(なお、巻き髪や
   アップの点、Hの点については、証人Fも認めている。)。また、原
   告は、カラーリングについては赤オレンジとすることを依頼した。
(4)被告従業員が、原告にシャンプーをした。その後、Fは、約15分、
   予定されているカットについて長めに大まかにカットをするベースカ
   ットをした。その際、大きな段をつけたロングレイヤーとするため、
   頭頂部、即ち外側の髪を比較的短めに、内側の髪を長めに、段をつけ
   る形にカットをした。また、Fは、この時点で、原告の毛量をある程
   度減量するカットをした。その時点では、原告は、Fにクレームをつ
   けなかった。
    また、この際、被告従業員が原告の前髪にストレートパーマをかけ
   た。(なお、原告本人の言い分にはベースカットについての部分がな
   いが、証人G、証人Fによると、ベースカット、カラーリング、ドラ
   イカットという手順がEで一般的であったと認められること、それは
   順序として合理的であること、ベースカットの時間は長くとも15分
   程度で、その施術も大まかなものであるから原告本人が陳述書を作成
   する時点や本人尋問の時点で記憶していなくとも不自然とは言い難い
   ことから上記の通り認めることとする。)
(5)その後、被告従業員は、原告にカラーリングをしたが、原告は、より
   明るい色を依頼したため、やり直しのため4回カラーリングが施され
   た。最後のカラーリングが終了後、少なくとも最終的にはシャンプー
   がされた(原告がその本人尋問で認めている。)。
(6)Fは、その後、原告に対しドライカットをし、全体の形を整えるため、
   毛量を落とすカットや段をより強く入れるカットをした。しかし、そ
   の過程で、原告は、期待していた髪型に比べ、肩からループまでの毛
   量が少なく、全体的に剥く量が多いと判断したこと、会う予定をして
   いた原告の交際相手から再々携帯電話に連絡が入ったこと、カラーリ
   ングも暗く気に入らないことなどから、同日午後7時頃、その中止を
   求め、Fはそれを了承した。
    なお、Fは、ベースカットないしドライカットの際、おれに任せろ、
   おれには何かこのデザインが見えていると述べていた。
    被告は、原告から本件美容契約代金を受領せず、かえって、トリー
   トメントをプレゼントした。
(7)原告の交際相手は、職業はホストであるが、同日、本件カットが終了
   後、原告と会い、原告の髪型を見て、激怒して、Fに電話をし、強く
   抗議した。翌日、原告の交際相手Iと原告は、Fと交渉した。Iの強
   い要求を入れる形で、Fは、原告に対し、「本人の希望する髪の長さ
   を私が誤ってカットしてしまいました。」「私が責任を持って本人が
   納得するまで無料でケア到します。尚、他社でケアした場合の費用も
   私が責任を持って負担到します。」などと記載した念書を差し入れた。
    原告の交際相手は、Fに対し、同月15日エクステ代7万円とヘア
   アイロン購入代3万3600円を原告に払うよう要求し、同月16日、
   Fと被告の部長Jは、Cに訪れ、合計10万3600円を支払った。
(8)原告は、同月19日、はげが出来たためLへ行き、円形脱毛症との診
   断を受け、治療を受けた。一般的に円形脱毛症はストレスによっても
   発症する(原告本人も認めている。)。
(9)本件カットにおいて、頭頂部には髪の長さが7〜8cmのものが一束以
   上ある。
    また、本件カットにおいては、側頭部、後頭部では、内側の髪につ
   いて、比較的広く根元近くまで、何か所かカットする手法が採用され
   ていた(カットの手法については証人Fも認めている。)。
    また、側頭部,後頭部に大きく段が入っていた。
    なお,本件カラーリングの最終的な結果は、表面は茶で、内部は比
   較的黒く色むらが認められるものであった(証拠写真を精査すると髪
   を挙げている写真の内部の髪が外部の髪に比べて黒いと認められる)。
    本件カット後のヘアスタイルがカットによってJJ記載の本件髪型
   になることができる期間は約1,2年間である(証人Mの証言)。
(10)原告は、本件カットについて、主に、頭頂部を初め多くの場所に短い
   頭髪があること、短い頭髪と長い頭髪が馴染んでいないこと、全体的
   に毛量が少ないこと、それらによって巻き髪やアップにすることが困
   難なことに強い不満がある。また、原告は、本件カラーリングの結果
   にも不満があった。
(11) 原告は、自分のキャバクラ嬢としてのアピールポイントは長い髪が美
   しい点であると考えていたため、納得いかない本件カット、本件カラ
   ーリングのままでの接客に自信がもてなかった。そこで、本件カット、
   本件カラーリング後、エクステンションをつけ、髪の量をカバーし、
   1か月後新たにカラーリングをした。原告は、エクステンションを購
   入、装着するため、少なくとも、平成16年4月7万円、同年6月5
   万円、同年8月5万円、同年10月5万円を費やし、その後も、エク
   ステンションの購入、装着に費用を支出している。
(12)原告の給与所得は、平成16年4月度約65万円、同年5月度約91
   万円、同年6月度約74万円、同年7月度約66万円であって、その
   間の平均は月約74万円であって、平成17年3月度約200万円、
   同年4月度百二、三十万円、同年5月度約70万円であった。

(次号に続く)

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<ご注意>
 当メルマガの記事は、法律の専門家では無い方を対象に、なるべく解り易く
読んで頂けることを基本コンセプトにしております。したがって、内容の厳密
さという点では、多少いたらない点もございます。
 実際にこの記事に書かれているようなトラブルを抱えている方につきまして
は、当事務所もしくは他の法律専門家の方に、個別に相談されることをお勧め
いたします。

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<編集後記>
 最近は北陸でも、気温が高くなってきました。理美容業界においても、年末
以外では、これから売り上げが上がっていくシーズンではないでしょうか?
 ところで、私は3月に引越しをして以来、いわゆる「いきつけ」の理容室や
美容室をもっていません。おそらく、私以外にも、3月の進学、就職、転勤に
ともなう引越しのシーズンから、まだ「いきつけ」のお店を決めていない方も
多いのではないでしょうか?
 こうしたお客様は、はたしてこれから、どのようにして理容室・美容室を探
していくのでしょうか? チラシ? タウン情報誌? ホームページ? 
 いずれにしても、この時期は新規顧客獲得のチャンスともいえそうですね。

 ところで、このメルマガの読者の方で、金沢市内またはその近郊の理容室や
美容室の経営者の方、あるいは従業員の方はいらっしゃいますでしょうか?
 よろしければ、私のサイト「理美容六法.com」からご連絡をお願いします。
ひょっとしたら、その店の常連客になるかもしれませんよ。

 でも、自分の素性がばれて、カットの最中にいろいろとよろず相談をされて
しまいますと、くつろげなくなってしまいます。やはりプライベートな時間ま
で「法律」を持ち込まれたくありませんからね。
 なので、あえて「匿名性」を守ったほうがいいのかもしれませんね。
 それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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